Snowflake × ServiceNow データ連携ガイド ― 3つの方法を徹底解説

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はじめに


こんにちは!システムサポートの槇田です。

今回のテーマは Snowflake と ServiceNow のデータ連携 です。
ServiceNow は、インシデント管理や変更管理などの IT サービスマネジメントを一元化するクラウドプラットフォームで、多くの企業で利用されています。
この ServiceNow に蓄積されたデータを Snowflake に連携することで、BI ツールや SQL を活用した分析・可視化に加え、他システムのデータと組み合わせた横断的な分析も可能となり、データドリブンな意思決定を支援できます。

本記事では、Snowflake と ServiceNow を連携させる 3つの方法(Snowflake Connector for ServiceNow V2 / Integration Hub + Snowflake Spoke / Workflow Data Fabric Hub)について、それぞれの特徴・メリット・デメリット・前提条件を比較しながら紹介していきます。

本記事でわかること


  • ServiceNow の概要と主な機能。
  • Snowflake Connector for ServiceNow V2 の概要と主なメリットおよび制限事項。
  • ServiceNow Integration Hub + Snowflake Spoke の概要と主なメリットおよび制限事項。
  • Workflow Data Fabric Hub の概要と主なメリットおよび制限事項。
  • 3つの連携方法の 比較と使い分け

概要


ServiceNow とは

ServiceNow は、企業の業務プロセスやワークフローを自動化・効率化するクラウドプラットフォームです。既存の IT システムと連携しながら、組織内外のデータや業務タスクを統合し、部門横断で業務フローを最適化できます。

主な特徴

  • クラウド型のIT サービス管理・業務ワークフロープラットフォーム
    IT 運用業務(インシデント管理、変更管理、資産管理、サービスカタログなど)を一元管理し、自動化や効率化を実現します。
  • IT 以外の業務領域にも拡張可能
    HR(人事)、カスタマーサービス、セキュリティ運用(SecOps)、設備・職場管理など幅広い業務領域へ展開でき、部門横断の業務改善や DX を支援します。

ServiceNow の主な機能

カテゴリ内容
IT サービス管理(ITSM)インシデント、変更、資産などの管理を統合。
IT 運用管理(ITOM)ネットワーク・サーバー・クラウド環境などの監視・運用管理。
カスタマーサービス管理(CSM)問い合わせ管理やセルフサービスによる顧客対応の効率化。
アプリ開発(App Engine)ノーコード・ローコードでカスタムアプリの迅速開発。
セキュリティ運用(SecOps)セキュリティインシデントや脆弱性への迅速対応。
HR サービスデリバリ(HRSD)セルフサービスやオンボーディングの自動化。
戦略的ポートフォリオ管理(SPM)IT や業務プロジェクトをビジネス目標と連携して管理。

参考文献

ServiceNow:ビジネスに AI を
www.servicenow.com
IT Service Management (ITSM) – ServiceNow
www.servicenow.com
ITOM – エンタープライズ IT Operations Management (ITOM) – ServiceNow
www.servicenow.com
カスタマーサービス管理 (CSM) – ServiceNow
www.servicenow.com
App Engine – ServiceNow
www.servicenow.com
Security Operations (SecOps) – エンタープライズセキュリティ – ServiceNow
www.servicenow.com
HR サービスデリバリ (HRSD) – HR 管理 – ServiceNow
www.servicenow.com
戦略的ポートフォリオ管理 (SPM) – ServiceNow
www.servicenow.com

Snowflake と ServiceNow の連携方法

Snowflake と ServiceNow を連携させるには、主に以下の 3つの方法 があります。

方法連携方式概要
Snowflake Connector for ServiceNow V2ServiceNow データを Snowflake へ取り込み。Snowflake Marketplace からインストール可能な Native App。ServiceNow のデータを Snowflake に取り込み、分析用途で活用できます。
Integration Hub + Snowflake SpokeServiceNow から Snowflake を操作。ServiceNow 側の機能。ワークフロー内で、Snowflake のデータ参照や更新処理を実行できます。
Workflow Data Fabric HubServiceNow から Snowflake を参照。Zero Copy 接続により、Snowflake のデータを物理的に複製せず、ServiceNow から直接参照できます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

Snowflake Connector for ServiceNow V2

概要

Snowflake Connector for ServiceNow V2 は、Snowflake Marketplace からインストール可能な Native App で、ServiceNow のデータを Snowflake に取り込み・同期するための専用コネクタです。

ServiceNow 内の構造化データ(インシデント、リクエスト、変更管理など)を個別に ETL 処理を開発する負荷を抑えながら、Snowflake にデータを複製・同期できるため、BI ツールや SQL を用いた分析が容易になります。

Snowflake Connector for ServiceNow V2 は、業務トランザクション連携というより、分析基盤へのデータ取り込み用途に適しています。

できること

  1. 自動データ取り込み(インジェスト)
    ServiceNow から Snowflake へ、過去の履歴データ(初期ロード)およびその後の増分更新の両方を、定期的に自動同期できます。データインジェストは ServiceNow Table API を利用しています。
  2. データ構造の整備
    各テーブルごとに以下を自動生成します。
    • 生データを VARIANT 型で保存するテーブル
    • 更新、削除イベントなどを保持する table_name__event_log テーブル
    • フラット化された形式のビュー table_name__view(各カラムが展開された形式)
    • 削除済みレコードも含むビュー table_name__view_with_deleted
  3. 分析基盤の統合
    Snowflake 上に集約された他システムのデータと ServiceNow のデータを組み合わせた横断分析が可能です。

主なメリット

  • スケジュールベースの自動同期
    スケジュールベースでデータ同期を実行でき、運用負荷を軽減できます。
  • 更新履歴と現在データの両方を取得可能
    生データに加え更新履歴や削除データも扱えるため、変更履歴の追跡や詳細分析に活用できます。
  • フラット化ビューの自動生成
    フラット化ビューにより、複雑なネスト構造を意識せずに SQL で簡単にアクセスできます。
  • スケーラビリティ
    大規模データでも高速に処理可能な Snowflake のスケーラビリティとクエリ性能を活用できます。

主なデメリット・制限事項

制限事項詳細
インジェスト可能なテーブルが限定される。sys_id 列を持つテーブルのみ対象で、ServiceNow のビューは非対応です。
スキーマ変更が既存データに自動反映されない。テーブル構造変更時でも、既に取り込まれたデータには適用されません。(変更後に更新されたレコードのみ反映)
リアルタイム連携には不向き。標準スケジュールでは最短30分間隔です。ただし V5.21.0 以降では、最大20テーブルに対して最短1分間隔の継続スケジュールも利用できます。
ネットワーク制限との相性。VPN 配下のインスタンスや IP アドレス制限が有効な環境には対応していません。
MANAGED ACCESS スキーマ非対応。宛先スキーマに MANAGED ACCESS スキーマは使用できません。
フェイルオーバーは手動。フェイルオーバーリージョンへの切り替えには追加の手動作業が必要です。

利用前に必要な前提条件

Snowflake 側

  • 初期インストールおよび設定には ACCOUNTADMIN ロール が必要です。
  • ORGADMIN ロール で Snowflake Connector の利用規約(Connector Terms)への同意が必要です。
  • コネクタ専用のウェアハウスを作成することが推奨されます。(必要なサイズは、同期対象テーブル数やデータ量によって異なります。
  • AUTOCOMMIT パラメータ が有効であることが必要です。
  • コネクタ実行用ウェアハウスの STATEMENT_TIMEOUT_IN_SECONDS を 10800(3時間)以上に設定することが推奨されます。

ServiceNow 側

  • Snowflake からアクセス可能な ServiceNow インスタンスであること。(VPN 配下不可、IP アドレス制限無効)
  • コネクタ用ユーザーに、対象テーブルおよびメタデータ取得用テーブル(sys_db_objectsys_glide_objectsys_dictionarysys_table_rotation)への読み取り権限が必須です。
  • 同期性能向上のためには、sys_updated_on 列へのインデックス設定も推奨されます。
  • 削除データ同期には、監査テーブル(sys_audit_delete など)が利用可能である必要があります。
  • Snowsight 上で OAuth 認証を設定する場合は、インタラクティブユーザーである必要があります。(「Web service access only」が無効であること)

参考文献

Snowflake Connector for ServiceNow® について | Snowflake Documentation
ServiceNow ®データのデータインジェスチョンを設定する | Snowflake Documentation
Prepare your ServiceNow® instance | Snowflake Documentation
Install and configure the connector with Snowsight | Snowflake Documentation
Install and configure the connector with SQL commands | Snowflake Documentation
Snowflake Connector for ServiceNow® V2 リリースノート | Snowflake Documentation

ServiceNow Integration Hub + Snowflake Spoke

ServiceNow Integration Hub とは

ServiceNow Integration Hub は、ServiceNow のワークフロー自動化機能の一つであり、REST や SOAP などを利用して外部システムと連携できるプラットフォーム機能です。Flow Designer と組み合わせることで、業務フローに応じた自動処理を容易に構築できます。

Snowflake との連携では、「ServiceNow Integration Hub + Snowflake Spoke」を利用します。Snowflake Spoke は、ServiceNow の Flow Designer から Snowflake に対して SQL を実行できるプリビルト連携機能です。

これにより、ワークフロー内で Snowflake のデータ参照や更新処理を実行できます。例えば、インシデント発生時に Snowflake 上の分析データを参照したり、処理結果を Snowflake 側へ記録したりといったイベント駆動型の連携を実現できます。

一方で、Snowflake Connector for ServiceNow V2 のような大量データの定期同期や分析基盤向けデータ連携にはあまり向いておらず、業務フローに応じたリアルタイム性の高い処理との相性に優れています。

ただし、ServiceNow Integration Hub + Snowflake Spoke の利用には有償ライセンスが必要です。ServiceNow の契約に ServiceNow Integration Hub が含まれていない場合は追加契約が必要になります。また、Snowflake Spoke などのプリビルト Spoke の利用には、多くの場合 ServiceNow Integration Hub の有償エディション契約が必要です。

Snowflake Spoke でできること

  • Snowflake と連携し、SQL を通じたデータの参照・追加・更新・削除処理を実行できます。
  • テーブルやカラム情報の参照、カスタム SQL の実行ができます。
  • Flow Designer に統合されており、ドラッグ&ドロップ形式で Snowflake を利用したワークフローを構築できます。
  • インシデント発生時や承認処理時など、イベント駆動型で Snowflake のデータ参照や更新処理を自動実行できます。

主なメリット

  • ローコードで迅速に開発可能
    Flow Designer と Snowflake Spoke により、ローコードで Snowflake 連携ワークフローを迅速に構築できます。
  • 接続情報と認証情報を一元管理
    Connection & Credential Alias を利用して OAuth 認証などを管理でき、安全な接続構成を実現できます。
  • 柔軟なデータ操作
    標準アクションに加え、カスタム SQL の実行も可能なため、要件に応じた柔軟なデータ操作が可能です。

主なデメリット・制限事項

  • 接続方式に制約がある
    Snowflake への接続には OAuth 認証などを利用でき、API 経由で SQL 実行を行います。
  • エディション・ライセンス依存
    利用可能な Snowflake Spoke や機能は、ServiceNow Integration Hub の契約エディションに依存します。
  • 大規模データ連携には不向き
    API ベースの連携方式のため、大量データを扱う場合は ServiceNow 側の処理負荷が高くなる可能性があります。
  • コストとライセンス構造が複雑
    トランザクション量や契約内容に応じた課金体系となるため、コスト管理が難しい場合があります。

前提条件

  • ServiceNow Integration Hub の契約および、ServiceNow の admin ロールなど設定権限が必要です。
  • Snowflake Spoke 設定時には、OAuth 認証(Security Integration)などの認証設定や Connection 設定が必要です。
  • Snowflake 側では、連携用ユーザー・ロールの作成や、SELECT 権限、Warehouse の USAGE 権限などの設定が必要です。

参考文献

統合ハブ – ServiceNow AI Platform – ServiceNow
www.servicenow.com
Snowflake Spoke • Australia Workflow Data Fabric • 製品ドキュメント | ServiceNow
www.servicenow.com
Flow Designer • Australia Build or modify applications • 製品ドキュメント | ServiceNow
www.servicenow.com
Explore credentials, connections, and aliases • Zurich Platform security • 製品ドキュメント | ServiceNow
www.servicenow.com
外部 OAuth の概要 | Snowflake Documentation

Workflow Data Fabric Hub

概要

Workflow Data Fabric Hub は、ServiceNow が提供する新しいデータアクセス・連携基盤であり、異なるシステムやデータソースに存在する企業データを、必要なタイミングで安全に参照・利用できるようにする仕組みです。ServiceNow のワークフローや AI エージェントから外部データを直接活用できます。

特に重要なのが、Zero Copy 接続(外部データを複製せず直接参照する接続方式) です。データを物理的に複製せずに直接参照できるため、データの一貫性・セキュリティ・ガバナンスを維持しながら、最新データをリアルタイムに活用できます。

Snowflake 向けの専用コネクタも提供されており、ServiceNow 上から Snowflake のデータを直接参照できます。

Workflow Data Fabric Hub は比較的新しい仕組みであり、利用可能なコネクタや対応機能は今後さらに拡張される可能性があります。

できること

  • Snowflake 上のデータを Zero Copy 接続で直接参照し、ServiceNow の業務フローや AI エージェント機能から活用できます。
  • データを物理的に複製することなく安全にアクセスできるため、データの二重管理を避けながら運用できます。

主なメリット

  • 最新データを直接参照可能
    Snowflake 上の最新データを直接参照できます。
  • データの複製不要
    データの重複保存による運用・管理負荷を軽減できます。
  • ガバナンスを維持しやすい
    データを複製しないことで、既存のアクセス制御やガバナンスを維持しやすくなります。
  • 外部データを活用しやすい
    Workflow Data Fabric Hub を通じて、外部データを ServiceNow のワークフローや AI 機能から活用しやすくなります。

主なデメリット・制限事項

  • Snowflake への更新処理には非対応
    2026年5月時点では、 Snowflake 上のデータへの書き込みや更新処理は対応していません。
  • Workflow Data Fabric Hub の導入が必要
    Zero Copy 接続を利用するには、「Workflow Data Fabric Hub」および「Zero Copy Connectors」に関連するプラグインや接続設定が必要です。
  • アクセス制御設計が必要
    データスチュワードや接続管理者の設定に加え、適切なロール・権限設計が求められます。

前提条件

  • Workflow Data Fabric Hub 関連プラグインの有効化
    ServiceNow Store や Now Support を通じて、sn_data_fabric 系プラグインや Zero Copy Connectors 関連プラグインをインストールする必要があります。
  • Snowflake との接続設定
    Workflow Data Fabric Hub 上で Snowflake への接続設定を行い、Snowflake 上のデータを参照・利用できるようにします。
  • 権限管理の準備
    データスチュワードや接続管理者の権限設定が必要です。また、Snowflake 側でも SELECT 権限など適切なアクセス権限の設定が求められます。

参考文献

ワークフローデータファブリック – ServiceNow
www.servicenow.com
Workflow Data Fabric Hub • Zurich Workflow Data Fabric • 製品ドキュメント | ServiceNow
www.servicenow.com
Zero Copy Connectors • Australia Workflow Data Fabric • 製品ドキュメント | ServiceNow
www.servicenow.com
Snowflake • Zurich Workflow Data Fabric • 製品ドキュメント | ServiceNow
www.servicenow.com

3つの連携方法の比較まとめ

比較項目Snowflake Connector for ServiceNow V2Integration Hub + Snowflake SpokeWorkflow Data Fabric Hub
連携方式ServiceNow のデータを Snowflake に取り込み。ServiceNow から Snowflake を操作。ServiceNow から Snowflake を参照。
データコピーあり。(Snowflake に複製)API ベースで都度取得・更新。なし。(Zero Copy)
データ取得方式定期同期。ワークフロー実行時。最新データを直接参照。
主な用途ServiceNow データの分析・可視化。ワークフロー内での Snowflake データ操作。ServiceNow 上での Snowflake データ参照。
提供元Snowflake(Native App)ServiceNow(Integration Hub)ServiceNow(Workflow Data Fabric Hub)

まとめ

本記事では、Snowflake Connector for ServiceNow V2、Integration Hub + Snowflake Spoke、Workflow Data Fabric Hub の特徴・メリット・デメリット・前提条件を紹介しました。

ポイントを振り返ると以下のとおりです。

  • Snowflake Connector for ServiceNow V2 は、ServiceNow のデータを Snowflake に自動取り込みしたい場合に適しており、個別に ETL 処理を開発することなく定期同期を実現できます。
  • Integration Hub + Snowflake Spoke は、ServiceNow のワークフロー内で Snowflake のデータ参照や更新処理を実行したい場合に有効ですが、有償ライセンスが必要です。
  • Workflow Data Fabric Hub は、データを複製せずに最新データを直接参照できるため、Snowflake のデータを ServiceNow から参照・活用したい場合に適しています。

どの方法を選択するかは、連携方式やデータ活用方法、データ更新タイミング、ライセンス・コスト、運用負荷などを総合的に判断することが重要です。

これらの連携方法を適切に選択・活用することで、ServiceNow と Snowflake の両方の強みを活かした、より効率的なデータ活用基盤を構築できます。

まずは比較的導入しやすい Snowflake Connector for ServiceNow V2 から検証し、自社の要件に応じて最適な連携方式を選定していくとよいでしょう。

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